急成長と進化を続ける組み込み市場において製品開発の最適化が求められています。また増大した処理要件に対応するためMCU(マイクロコントローラ)からMPU(マイクロプロセッサ)への移行が必要になる事もあります。このような移行を支援し、設計を容易にするために、マイクロチップ社は本日(元記事日付2022年8月5日)、最大600 MHzで動作するSAM9X60D1G-SOM “ARM926EJ-SベースMPUに基づくSystem-on-Module”を追加して同社マイクロプロセッサSOM (System-on-Module)のポートフォリオを拡充した事を発表しました。SAM9X60D1G-SOM用ソフトウェアは、MPLAB® Harmony3によるベアメタルまたはRTOSサポート、あるいはLinux®メインライン ディストリビューション一式で利用できます。

SAM9X60D1G SiP (System in Package)をベースにした本SOMは、MPUとDDRに加え電源、クロック、メモリストレージを1つのパッケージに内蔵した手はんだ対応の小型(28 mm×28 mm)モジュールです。SAM9X60D1G-SOMは、アプリケーション デバイスにおけるデータ メモリストレージを最大化するため4 Gb SLC NANDフラッシュを備えた、マイクロチップ社初のSOMです。またDDRを内蔵する事で、メモリチップに関連する供給と価格のリスクを低減できます。小型のSAM9X60D1G-SOMはMCP16501 PMIC(電源管理IC)も内蔵しているため、低消費電力システムを可能にする単一5 V電圧レールの電源設計が簡単です。

Ethernet接続システムに求められる機能を実現するため、SAM9X60D1G-SOMは10/100 KSZ8081 Ethernet PHYと1 KbシリアルEEPROMを内蔵しており、MACアドレス(EUI-48)を書き込み済みです。内蔵のセキュアな鍵保存(OTP)によるセキュアブート、ハードウェア暗号化エンジン(TDES、AES、SHA)、TRNG(真性乱数生成器)等、求められるセキュリティ保護レベルをベースにさらにカスタマイズが可能です。

SAM9X60D1G-SOMは、設計の複雑さとPCBの総コストを低減するために、実績のあるマイクロチップ社製素子の標準的セットを使って設計されたMPUベースSOMの既存ポートフォリオに新たに追加された製品です。例えば、高密度デバイス群がSOM上に既に配線されているため、低コストの4層PCBを使って製品を設計できるのです。

SOMとその部品は、できるだけ長期間、また需要がある限りその製品を供給し続けるというマイクロチップ社の顧客志向のEOL管理活動によって支えられています。これは、高い需要があるのに供給が限られている今日の半導体市況においてとりわけ重要です。

SAM9X60D1G-SOMは、医療機器、車載用テレマティクスおよびインフォテインメント システム、電気自動車用充電器、産業および自動化制御等、各種産業にわたる多数のMPU32エンド アプリケーション向けに設計されています。また、本デバイスは複数の通信インターフェイスを持つコンピューティング機能を実現するための製品に特に適しています。これらの製品は、一度認定を取得した後、個別のプロジェクトに合わせてカスタマイズされます。

開発ツール

マイクロチップ社は、3つのLinuxディストリビューション(BuildRoot、Yocto、OpenWRT)に対応したSAM9X60D1G Curiosity評価用キット(CPN: EV40E67A)を含むSAM9X60D1G-SOM向けハードウェアおよびソフトウェア開発サポートを提供しています。これらのベアメタルまたはRTOSベースシステムはMPLAB® Harmony 3組み込みソフトウェア フレームワーク、MPLAB X IDE(統合開発環境)、MPLAB XC32コンパイラでサポートされています。

在庫/供給状況

SAM9X60D1G-SOM (PN SAM9X60D1G-I/LZB)は本日(元記事日付2022年8月5日)より受注を開始いたします。

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